2012-11-19 レンタサイクル 北京のまちを走る

地下鉄 朝陽門駅出入り口近くのレンタサイクル駐輪場

地下鉄 朝陽門駅出入り口近くのレンタサイクル駐輪場

「暢通北京、緑色出行 (渋滞のない北京、エコで外出)」。
交通渋滞、大気汚染などは大都市北京が抱える大きな課題の一つです。これらを解決するために、北京市では冒頭の標語を掲げ、多方面の施策を展開しています。「緑色出行」とは地下鉄などの軌道交通やバス、自転車による外出を指し、特に自転車+公共交通機関による外出を呼び掛け、その利用を促しています。

<道路が駐車場に>
「北京晨報」2010 年8 月27 日、「2015 年 道路が駐車場に変わる?」という見出しの特別記事が目を引きました。専門家によると、 2015 年北京の機動車(自動車・バイク等)総数が700 万台を超え、仮に何も対策を打たないとラッシュ時に渋滞指数が9.5 に達するというものです。この指数ですが、0 は渋滞のないスムーズな流れ、10 は駐車場の状態を指します。

先日この専門家の指摘する大渋滞が発生しました。9月25 日、中秋節と国慶節が連続する8 連休の直前の一週間、最も混在する1 週間と以前から言われていましたが、折悪く当日は昼頃から雨が降り出し、特に夕方5 時から8 時にかけて車は進まず、市街地の中心部では渋滞指数が9.8 に。その時の時速は13km で、ほとんど駐車場状態だったとか。

<増える自動車と環境への影響>
国の発展とともに都市部を中心に車は増え続け、今や中国は自動車の製造大国と消費大国になりました。北京では2007年新車登録台数は25 万台、08 年37 万台、09 年51 万5 千台、そして2010 年はなんと81 万台。この増加は急激なもので、例えば新潟市の自動車登録台数は56 万7 千台(10 年)ですので、2010 年の場合新潟市の総数の1.4 倍もの新車登録が一年間に行われたことになります。このような車の増加に有効な対策が取れない状況が続いていました。

一方、環境への影響も深刻なものとなりました。大気中に浮遊する粒子状物質の中で、特に小さな粒径2.5 ㎛以下のものを微小粒子状物質(PM2.5)と呼ばれるそうですが、北京のPM2.5 の22.2%は自動車などの排気ガスによる汚染と言われています。大気汚染が長引くと病院では咽喉炎、気管支炎など呼吸器系の患者が増えたりします。

自動車の増加や排気ガスは人々の健康や生産活動、市民生活に影響が大きく、市のこれらに対する対策の実施は待ったなしの状況でした。

<総合的な環境保護政策―緑色北京行動計画>
まず車両の急激な増加に対し、市は厳しい規制措置を取ることになります。2011 年1 月から新規自動車購入に対し制限を加え、月2 万台としました。購入希望者は申請し、抽選を経て新車登録する方法になったのです。この方法であれば年間の増加を24万台に抑えられます。市の強力な政策の実施の前に、2010年12月駆け込みで新車登録をする市民で窓口は混雑し、23日は一日で9,000台増えたそうです。

自動車の増加を緩和させるかたわら、市は新たな環境保護政策を策定、実施に移します。エネルギー構成の調整、新エネルギー自動車の普及、公共交通の発展、森林被覆率の向上、建築物に対する省エネ改造の実施などいくつかの面から具体的に政策を実施し、環境保護を推進するものです。例えばPM2.5発生原因の二つ目は煤煙による汚染で16.7%を占めますが、石炭使用による発電を減らしたり、植林造林を進めていく予定です。また地下鉄の建設にも力を入れています。ここ数年、毎年年末に新規区間などが開通し、今年の年末には70km増え総延長450kmに達する見込みです(東京は304.1km)。

地上交通から地下交通の利用を促し、道路の渋滞を少しでも緩和させようという考えです。併せて大気汚染を減らそうとしています。

建国門駅近くの駐輪場

建国門駅近くの駐輪場

<定着するか レンタサイクル>
かつて出退勤時に道路を埋め尽くした自転車の流れは、 今や自動車に取って代わられ、2010年上半期の公共交通に よる市民の外出は39.3%、車による外出は34.2%、その次が自転車で17.9%。自転車は2005年の30.3%と比較し12.4%下がりました。
市は渋滞緩和策の一環で、地下鉄などの軌道交通やバス、自転車による外出をいう「緑色出行」の比率を2015年に65%にする目標を立てました。2年前のことです。市内にモデル地区を設け、業者に委託し、レンタサイクル事業を試行。そこから様々な経験を得たようです。

東直門駅近くの駐輪場

東直門駅近くの駐輪場

最近レンタサイクルの駐輪場をあちらこちらで見かけるようになりました。今年6月から北京市公共自転車サービスシステムが正式に試行運営されました。建国門や天壇等63か所に2,000台が配置されたそうです。現在バスや地下鉄を利用する際に使う「一卡通」と呼ばれるカードにこの公共自転車サービス利用機能を付加した新機能付き「一卡通」を使い、自転車を借りることができます。最初の1時間は無料、その後1時間毎に1元が加算される料金体系。自転車サービス利用手続きには身分証を持参し、実名登録する必要があります。

実際に乗っている人を見たことはありませんが、設置スペースにないところを見ると利用は徐々に進んでいるものと思われます。市としては、2015年には全市に約1,000の駐輪場を設け、5万台を配置する計画です。

以前の自転車の波はもう見られないとしても、中国は今も電動自転車を含めた自転車の生産と消費、輸出大国。人々の生活水準の急速な高まりに伴い、自転車や電動自転車は健康、低炭素、省エネと便利さによって受け入れられている一面もあります。バスや地下鉄を利用した後、近くの自転車駐輪場でレンタルし、目的地へ。このような生活スタイルが根付くかどうか、注目されています。

<終わりに>

駐輪場にある利用案内のパネル

駐輪場にある利用案内のパネル

北京市の機動車保有台数は、511万6千台(7月末現在)。その増加を制御しながら、渋滞緩和のためナンバー末尾による平日の自動車通行制限、立体交差橋の改良、また公共交通機関の利用を促すため中心部の駐 車場料金の値上げ等々様々な施策を行っています。
一方、市民に身近な自転車。自転車が見直され、この度の公共自転車サービスシステムの運用開始は目に見える形で市民生活に変化をもたらそうとしています。今月からは外国人も利用できるようになりました。今、利用しようかなという思いと現実の道路状況の間で揺れています。(近藤)