中国の中秋節

中国旧暦の8月15日(今年西暦9月24日)は中秋節です。中国人にとって中秋節は、春節に次ぐ第二番目の伝統的な祝日として重視されています。この日の「月」は一年中のどの日よりも大きく、明るく、丸いため、この日はまた「団円節」とも呼ばれています。

昔はこの日の夜、庭に果物や月餅を盛ったテーブルを置き、家族みんなでこれらを食べながら月見をし、一家円満と長寿、そして作物の豊作を祈りました。現在もこの日には家族ができるだけ集まって、一緒に月餅と贅沢な料理を食べながら、中央テレビの「中秋晩会」を見るのが恒例です。

月餅は、約2000年前の周代に「天子」が月を祭ったことが始まりで、唐代(約1400年前)から民間に広がり、宋代(約1000年前)に流行したそうです。月餅は満月を形取っています。これは、中秋節に月餅を食べれば、家族が毎年集まることができるということを意味しています。

私の小さい頃は、月餅には「五仁餡」(杏仁、胡桃、橄欖仁、芝麻、向日葵の種)と「青紅糸餡」(蜜柑の皮と大根の皮)の2種類の餡しかありませんでした。

現在の月餅は餡の種類が多様になっているほか、形や味までもがいろいろと工夫されています。

まず、地方によって月餅は、京(北京)式、蘇(蘇州)式、潮(潮汕)式、台(台湾)式、広(広東)式、滇(雲南)式、川(四川)式などの種類があり、特に広式が一番流行しているようです。人気の理由は、皮が薄くて餡が多いからだそうです。

形も四角形、ハート形、楕円形、三角形など、種類が多くなっています。

また、餡の種類も、小豆餡、蓮の実餡、胡麻餡、ココヤシの実餡、アーモンド餡、くるみ餡、栗餡、かぼちゃ餡、松の実餡、燕の巣餡、卵餡などいろいろあります。

味も、甘い味、しょっぱい味、甘じょっぱい味があります。甘い月餅としょっぱい月餅どっちがおいしいか、という話題もよく上がります。個人的にはやはり甘い月餅が好きです。しょっぱい月餅はなかなか慣れません。

さらに、最近では考えられないような月餅も登場してきました。例えば酸辛味、麻辛味、ニラと卵の餡の月餅、菊とプーアル茶味の月餅。どんな味でしょうか。本当に想像できません。

あるメーカーは月餅アイス、月餅ゼリー、低カロリー月餅を作っています。このような月餅ならみんな食べたくなりますよね。

次に、中秋節のお酒は「桂花酒」と決まっています。ある伝説によると、この日の満月には「嫦娥(じょうが)」が月の宮殿で舞い、「呉剛(ごこう)」が桂の木に斧を振い、「玉兎(ぎょくと)」が薬を作っている様子が映し出されています。この時期はちょうど桂の花が咲く時期です。この花から作ったお酒は色が美しく、香りも良く、味もちょうど良い甘さでお菓子に合うと言われています。

最後に、誰もが楽しみにしているのが、中秋節を祝う娯楽番組です。この娯楽番組は中国の春節を祝う娯楽番組と同じ形式で、中央テレビをはじめ、各地方のテレビ局も放送する番組です。番組は「月が円満で、人も団円」という祝いをテーマに、伝統的な京劇のほか、歌やダンス、雑技、漫才など、たくさんの演目を夜8時から10時に渡って放送します。

大手企業は、職員に月餅や祝日補助金を福利厚生費として出します。また会社同士で業務上のお礼として月餅を送ったりします。さらに会社ごとに、この日のための娯楽番組を作成したりもします。

この中秋節を必ず覚えている人たちがいます。それは、海外に住む中国人です。海外の中国大使館などもこの日のために娯楽番組を放送し、同じ所にいなくても、中国の親戚と同じ月を見て、いつの日かまた会えることをお祈りします。

日本のお月見は、中国の中秋節とは過ごし方や習慣などが違うでしょう。機会があれば、ぜひ中国に来て、中国の中秋節を体験してください。(姜)