中国の旧暦と春節の話

l  春節は旧暦の正月

中国では、中華民国成立の1912年に太陽暦が採用されたが、伝統的な祝日は太陰太陽暦(陰暦、旧暦とも言います)で祝う。いわゆる、春節である。

東アジアの国々では、太陽暦でお正月を祝う国より、旧暦春節を祝う国が多い。中国のほか韓国、モンゴル、ベトナム、シンガポール、マレーシアなど、お正月と言えば皆旧暦のお正月だそうだ。つまり中国人にとって、お正月とは旧暦で祝う春節のことで、日本人が祝う太陽暦のお正月は「元旦」となり、一日か二日休み程度でお祝いをしている。

そもそも、旧暦とは何か。

地球が太陽のまわりを一周する時間の長さを一年とするのが太陽暦(たいようれき)で、月が新月から次の新月になるまでを一か月とするのが太陰暦(たいいんれき)。現在でいう旧暦とは、ひとつ前に使われていた暦である、太陽暦と太陰暦を組み合わせた太陰太陽暦のことを指す。

太陽暦は太陽の周期そのままなので、地球が太陽を周回する約365.24日を基準にしている。太陰暦は月の満ち欠けにあわせて、暦月の1ヶ月を約29.5日で、年を約354日としている。

太陰暦をそのまま使うと1年につき約11日、3年で約33日(約1ヶ月分)、暦と季節がずれてしまい。そこで考えたのが、月だけではなく、太陽の動きも取り込んで、閏月をいれることで、暦と季節のずれを調整した太陰太陽暦である。

旧暦の新年を太陽暦と照らし合わせると、毎年複雑な変化をするが、大体は毎年1月の下旬から2月の下旬ぐらいに当たる。たとえば2016年の春節は28日、2017年は128日、2018年は216日、2019年は25日、2020年は125日である。

 

l  中国の旧暦春節とその習慣

   旧暦年末23日、24「小年」

民間では「小年」と呼ばれ、小年から歓喜や新春を満喫する楽しさが溢れ、年越しの準備を本格的に始める。

この日から家の掃除が始まる。昔からの言い方によれば、中国語で「塵」と「陳」の発音が一緒で、新春の前に家を掃除し、塵を払うことによって、古く悪い運を掃除するという意味がある。この風習は厄除けとお祝いの祈りと願いを託している。

   旧暦年末25豆腐作り

伝説では、その日は玉帝が下界に降りるので、各家は豆腐しか食べれなくて、生活の困窮を表し、玉帝が来年また守ってくれるよう祈っているだそうだ。

   旧暦年末26「割年肉」

この日は主に春節のためのお肉を準備する。一部の地方農耕社会の経済が発達せず、人々は春節で初めて肉を食べることができるため、これを「年肉」と呼ぶ。

一部の地方では、この日は大きな市の日で、市場の周辺の村人たちは商品を買いに行く。タバコや魚、肉、花火、および親戚に渡す贈答品のような物を買う。

   旧暦年末27入浴、洗濯

1年の埃を除いて、新しい年を迎える。

   旧暦年末28

家で掃除して、年画、春聯、窓花など、“年という春節の赤い張り紙を貼る。

   旧暦年末30「除夕」大晦日

除夕(大晦日)の夜の晩ご飯は“年夜饭”という、大晦日に神霊や祖先を拝んだ後に団欒する。中国人の“年夜饭”は家族の団欒食で、これは年尾最高で、最も重要な夕食である。

それに、日本の紅白歌合戦のように、中国の大晦日の夜にも、“晚会”という国民的番組があって、歌や踊り、コントなどのにぎやかなショーを繰り広げる。この番組は中国政府の肝いりですから、時にはその年の中国政府の動向も伺い知ることができる。

家族みんなでこの番組を見たり、おしゃべりをしたりして夜を明かす。これを“”(大晦日に寝ずに新しい年を迎えること)と言う。これもまた日本と同様、過ぎ去る年を惜しみ、新しい年を心から迎えようという習慣だろう。(石)