巨大なユーザーベースを有するeスポーツライブ配信

eスポーツ(電子競技)は、電子ゲームを用いた対戦が「競技」として確立されたスポーツ分野です。中国では2003年に国家体育総局によって正式な体育競技種目として認定され、その後急速に発展を遂げてきました。調査によれば、eスポーツライブ配信のユーザー規模は非常に大きく、2025年までに中国のeスポーツ関連ユーザー(プレイヤー、視聴者等を含む)は4.95億人に達すると予測されています。主な視聴層は25歳から34歳の若年男性で、ユーザーの視聴頻度と定着率も極めて高い水準にあります。また、eスポーツ競技大会は、配信コンテンツの中でも特に質の高いカテゴリーとして位置付けられており、例えばTikTokでは人気ゲーム『黒神話:悟空』の見どころシーンをまとめたプレイ動画などが非常に高い再生回数を記録するなど、視聴者からの関心の高さが窺えます。

出典:人気ゲーム『黒神話:悟空』の一つのシーン,高精細、高品質な画質が窺えます

一方で、eスポーツライブ配信には多額のコストがかかります。その内訳として最も大きな割合を占めるのが、eスポーツ大会の放映権料です。特に『リーグ・オブ・レジェンド』ワールドチャンピオンシップといったトップクラスの大会の放映権は極めて高額です。加えて、コンテンツ制作コストも一般的なライブ配信に比べて顕著に高く、プラットフォーム側は、自社制作による大会やバラエティ番組を企画し、試合の戦術的深さや観戦価値を効果的に伝えるための資源投入が求められます。さらに、帯域幅(注)コストも重要な支出項目の一つとなっています。高精細なライブ配信が標準となった現在、大規模な同時接続視聴者を支えるための帯域幅コストは、プラットフォームにとって大きな負担となっています。

収益面では、視聴者による配信者への経済的支援(課金)やバーチャルギフトの贈与が主な収入源となっています。これに加え、有料視聴や有料サブスクリプション(従来のスポーツイベントにおける会員制有料視聴と同様)といったコンテンツ課金形態も取り入れられています。また、ゲームプラットフォームは人気ゲームをテーマにしたイベント期間中に、限定販売や特典付きアイテムを提供するなど、ユーザーの消費を促すカスタマイズされたプロモーションを展開しています。さらに、収益構造の多様化を図る動きも進んでおり、ゲームコンテンツを基盤とした音声ソーシャルエコシステムの構築や、自動車メーカーや地域密着型生活ブランドなどを対象としたプロモーションサービスの提供を通じ、広告収入の拡大にも力を入れています。

今後の展望としては、eスポーツライブ配信が単なる「視聴行動」を超え、「文化的現象への参加・没入型体験」へと発展していくことが期待されています。技術の進歩とコンテンツの高度化に伴い、視聴者はよりインタラクティブで没入感のある体験を求めるようになり、プラットフォーム側もそれに対応した新たなサービス形態を模索していくものと考えられます。(ハン)

(注)帯域幅:通信や放送に使用する電波や光の周波数の幅