北京通学専用バス ~安心で便利な通学路~

北京で各小中学校の周辺では、登下校のピーク時に、送迎車両が集中することで渋滞がよく発生します。特に朝夕のラッシュ時には通勤車両と重なり、車を運転する人、電動自転車に乗る人が、校門の周りをぎっしりと取り囲んでいます。長い間、「送迎難」は多くの保護者を悩ませる問題です。

2023年9月、北京市は義務教育段階(小一~中三)の学校に通う生徒に対し、効率的で便利な通学サービスを提供し、保護者の送迎の負担を軽減することを目的とする通学専用バスの運行を開始しました。報道によると、2026年9月1日時点で、北京市の8つの区内で通学バス路線304本が開設され、122校の学校を対象に、612台の車両が配備され、1万9300人の生徒が利用しています。

運行条件については、北京市が2023年8月に制定した基準を定めています。原則として、区域を跨がず、路線の長さは10キロ以内、運行時間は30分以内、途中停車地点は3か所以内とされ、乗車率は70%以上であることが求められます。ただし、道路状況やニーズに応じて柔軟な対応も行われており、狭い道路では小型車両の導入や時間帯分散運行などの工夫がなされています。利用を希望する場合、学校が保護者のニーズをとりまとめ、運行企業が学校と協力して路線計画を作成し、区政府の承認を経て開通するという流れになっています。

北京通学専用バスの車両は福田自動車(北京市に本社を置く、中国を代表する社用車メーカーの一つ)が開発した新型通学車で、小中学生の身長に合った座席を特別に設置しています。車種は大型(12メートル)、中型(8.5メートル)、小型(6メートル)の3種類のサイズをカバーし、多様な通学路のニーズに対応しています。中でも6メートルの「ミニ」車種は、狭い路地にある学校により適しており、曲がり角やUターンがより便利です。

また、車内には10台余りのカメラが設置されており、映像や音声を記録できます。運行終了後、カメラが車内に取り残された生徒を検知すると、自動的に端末ホストに接続し、クラウドプラットフォームに通知して警報を発します。保護者はミニプログラムを通じてスマートフォンで車両の運行状況や生徒の乗車状態をリアルタイムで確認できます。各通学バスには運転手、乗務員、乗車ボランティアも配置され、共に運行秩序を維持し、生徒の通学を守っています。さらに、生徒の乗降時の歩行距離を減らすため、通学バスの駅はできるだけ住宅地や学校の出入口に近い場所を選び、一部の通学バスはキャンパス内に直接乗り入れることができ、生徒に「門対門」(家の門から学校の門まで)というワンストップサービスを提供しています。

この政策は北京市が支援する公益的な取り組みとして位置づけられ、多くの面で明らかな効果をもたらしています。第一に、送迎の負担が大幅に軽減されます。特に共働き家庭にとって、朝夕の送迎は大きな負担であり、通学バスの利用によりその問題が解決されます。第二に、安全性が確保されています。乗務員と教職員による「手渡し」方式の引き渡しが行われ、乗車から下車まで一貫した安全管理が徹底されています。第三に、経済的負担が軽減されます。1回の乗車料金は5元(約120円)で、1日10元と、民間のスクールバスに比べて格安です。第四に、学校周辺の交通渋滞の緩和にも貢献しています。送迎車両の減少により、通学時間帯の道路混雑が改善されつつあります。

北京通学専用バスは、都市公共交通の新たなモデルとして、保護者の「送迎難」という長年の課題に応える取り組みです。今後さらに対象地域を拡大し、より多くの家庭がこのサービスを利用できるようになることが期待されています。(キク)