北京の春を彩る元大都城壁遺跡公園の「海棠花溪」

北京の北第三環状線沿いに位置する元大都城垣遺跡公園は元の時代の都の遺跡に建てられ、700年以上の歴史を持ち、国の重要な文化遺産に登録されました。この地は13世紀に築かれた元大都の城壁遺跡を保護するため、1988年に整備された公園で、その中でも特に人々を魅了するのが「海棠花溪」と呼ばれるエリアです。2003年に完成した「海棠花溪」は、こうした歴史的景観と自然美を融合させたユニークな空間として生まれ変わりました。

「海棠花溪」の最大の見どころは、小月河沿いに広がる大規模な海棠花の花海です。1.1キロメートルにわたる河岸には、春になると、5000本余りの海棠の木が一斉に花を咲かせ、ピンクと白い花が交じり合い、川に映える様子から「花溪」の名が付けられました。海棠の木の種類も豊富で、西府海棠(セイフカイドウ)を中心に、垂糸海棠(スイシカイドウ)など28品種が植栽されています。

公園では、1998年から毎年4月に「海棠花祭り」が開催され、伝統音楽の演奏会や写真コンテスト、夜間ライトアップなど多彩なイベントが催されます。また、遊覧船に乗って花海を鑑賞することも特別な体験です。

散策路を歩けば、宋朝の詩人・蘇軾が詠んだ「海棠春睡」の詩碑や、元の時代の石板彫刻文物の展示エリアにも出会えます。満開の海棠の花が古い城壁を柔らかく包み込む光景は、都会の真ん中で歴史と自然が奏でる春のハーモニーです。

4月9日付の報道によると、今年の「海棠花祭り」が4月2日に開幕して以来、わずか1週間で41万人以上、1日平均約5万8000人が訪れたとのことです。(キク)