最近、ショート動画を見ていると、ひときわ目を引くライブ配信が増えています。小規模ライブハウス並みの舞台照明の中、複数のダンサーや歌手たちが音楽に合わせて熱気あふれるパフォーマンスを繰り広げる様子です。これが今、現在大きな注目を集める「チーム型ライブ配信」(中国語で言う「团播」のこと)です。
4名から8名程度のチームを組み、プロ並みのパフォーマンスを披露するライブ配信です。最も魅力的な特徴は圧倒的な参加体験にあります。視聴者が数十元(数百円相当)のバーチャルギフトを贈るだけで、メンバー全員から直ちに感謝の言葉が返ってきます。さらに数百元から数千元(数千円から数万円相当)の高額バーチャルギフト「大型ロケット」を贈れば、次に演じる曲目の指名や、メンバーの登場順などを直接指定できるなど、積極的に関与できる権利を得られます。
この「インタラクティブと没入感」を極限まで追求した仕組みは、ライブ配信業のあり方を根本から変えつつあります。かつては突出したカリスマ性を持つ個人配信者の「偶発的な成功」に大きく依存していた業界が、組織的なチームワークとシステム化された制作プロセスによる「持続可能な成長」モデルへと移行させつつあります。業界関係者によれば、2025年現在、このようなチーム型配信を専門的に行うライブルームは、1日あたり5000~7000室も稼働していると推計されています。
この「チーム型ライブ配信」のブームは、コンテンツの質に対する競争を激化させ、業界全体の制作水準を引き上げています。高品質な配信を維持するためには、当然ながら多額の投資が不可欠です。専用スタジオ、マルチカメラによる切り替え技術、流行を反映した舞台セットや衣装・メイク、そして運営、ディレクション、振付を担う専門家チームの確保が必要となります。ある業界関係者は、「配信ルームは画質を鮮明に保ち、細部まで気を配った演出を実現するためには、最低でも10万元(約200万円)規模の初期投資がスタートラインになる」と語ります。
こうした投資は、品質の「確実性」と「安定性」を確保するために行われます。視聴者がいつ訪れても高水準パフォーマンスをエンジョイでき、長時間楽しんでもらうことで、継続的に支援(課金)へと繋げる基盤を築くのです。
そして、この「確実性」への投資は、驚くべき経済的なリターンを生み出しています。トップクラスのチーム型ライブ配信ルームでは、視聴者からのギフト収入だけで、一晩に100万元(約2000万円)以上を稼ぎ出すケースも珍しくありません。そのビジネスモデルも進化を続け、初期の「ギフト収入単体」から、「ギフト収入」と「ブランドとのマーケティング連携」と「EC(電子商取引)を活用した商品販売」を複合した総合型収益構造へと発展しています。
具体例として、化粧品や日用消費財のブランドが、女性ファン層を抱える男性アイドル系の配信チームと提携するケースが増えています。パフォーマンスの合間に自然に製品を登場させ、熱心なファンに向けて効果的なプロモーションと販売を同時に行うことで、新たなマーケティングとして確立されつつあります。
このように、チーム型ライブ配信は、単なる新しいエンターテインメントの形を超えて、視聴者参加型の新しいメディア及び消費のプラットフォームとして急成長しており、デジタルエンタメ産業の将来像を大きく描き変える可能性を秘めています。(ハン)

